ひよりが風邪を引いたと朝に
おばさんから聞いた。



(お見舞いに行こうと思い立ったものの、
何を持っていこうか…)




「いらっしゃいませ〜」


結局、悩んだ末に
学校の近くにある花屋へ
帰る途中に寄ってみた。



「綾瀬さん、大丈夫なの?」


隣にいた碧海が尋ねる。



「ただの風邪みたいだけどね…」


俺は答えた。


「…そういえば、この前言ってた
ひよりに話ってなんだったの?
聞きそびれてたけど」


俺は碧海に尋ねた。


「あ……それは………」


視線を逸らしながら碧海が言葉を濁す。



「? もしかして聞いちゃダメだった?」


碧海が聞かれたくなさそうな顔を
するから、俺はそれ以上
聞かないことにした。



「…っ違うの!」

碧海が急に叫んだ。



「…あ、綾瀬さんが、郁くんを
困らせてるから…私、それを
注意しただけで………」

「……困らせてるって何?」


俺は碧海を見た。



「だ、だって…あの人のために、
郁くんは無茶するんだもん…!
そんなの私、嫌だよ…!」

「無茶って…この前はひよりが
いなくなったって言うから、
探し回ったってだけの話で…」

「そうやって、なんでもない幼馴染みの
心配して、身体壊されたりしたら
私が嫌なの!!!!」




「……………なんでもない幼馴染み?」




俺はその言葉に引っかかりを覚えた。