「…何それ…?ひよりのこと…?」

「……!」


俺の言葉に碧海が口を噤む。



「…碧海。お前が何を疑ってるのか
分かんないけど、俺にとっては
二人とも大事なんだ」

「……っ、
郁くんは分かってない!」



碧海が怒鳴った。



「…私って、郁くんにとって何なの…?
綾瀬さんって幼馴染みよりも、
なんだか遠い気がしちゃうよ…!!!!」



碧海は踵を返して走り出した。



「おい、碧海…っ!?」



俺は無意識にどこかで碧海のことを
傷付けていたのか。



でも、碧海の怒る理由が分からない俺は
どうしていいのか分からなくなった。



俺に分かるのは、
二人とも大事だということ。



碧海は自分の彼女。



ひよりは自分の幼馴染み。




どちらも大事だから、
大事にしていたいだけ。