──昼休み。

私はいつもの通り棗ちゃんと2人で屋上でお昼をとっていた。


「で?ずっと授業中も集中できなかったと?」

ニヤニヤと棗ちゃんが笑いながら言ってきた。

そんな棗ちゃんに、真っ赤な顔をしたまま私が何も言えないままでいると、


「あははっ!!もーここまできたらあんたホントかわいーわー!」

と、さっきよりも大笑いされた。


「そ、そんなに笑わないでよ!私だって真剣なんだから!」

「ごめんごめん。でもさー隣の席だから意識しまくって、授業も耳に入んないとかどんだけよ」

「だ、誰のせいでこんなことになったと思ってるのよ…」

「え、あたしのせいなわけ?」

棗ちゃんが苦笑いした。


「そうだよ!もう…」

ぷくっと頬を膨らませていると、


「でも一つ気になってることあるんだけど」

と、棗ちゃんが言ってきた。


「え?何?」

「お昼のこと。あの二人があんたのこと誘ってたのに、断っちゃってほんと良かったの?」


……そう、ほんの数分前……



「ひより。これから昼だし一緒に食堂行かないか?」

授業が終わって、郁ちゃんが話しかけてきてくれた。


「え!ひよちゃんが行くなら俺も食堂行く!」

地獄耳でしっかり聞いていたのか、樹里くんが後ろから身を乗り出してきた。

もちろん誘われて嬉しかったけど、朝の棗ちゃんとの会話のせいで、郁ちゃんの目を見てろくに話せる気がしなかった。