☆☆一華side☆☆

「おはよー!」
初夏をにおわす緑の若葉が茂る坂道を走って下る。
私を、待ってくれている人たちのいるところへ走る。
私は南花中学校に通う南沢一華(みなみざわ
いちか)、中学2年生。
私たちの学校は2年生になるとクラス替えがある。
2年生になってもう2ヶ月が過ぎて、クラスにもあっという間に溶け込んだ。
「一華!遅いよー!!」
「一華。遅い。」
「なんで、いっつも一華はおせーんだよ。」
「ごめーん。」
私には3人の幼なじみがいる。
「ほら!一華、行くぞ!」
彼は北川竜(きたがわ りゅう)。
野球部の新キャプテンをやっている。
竜は雰囲気が優しく、誰にでも手を差し伸べてあげるタイプ。
竜は運動が凄くできて、なかなかカッコイイ。
2年生になって身長も伸び、モテ始めた。
怒るとヒジョーに怖い。
「部活に遅れる。」
彼は東野健(ひがしの たける)。
身長が180cmもあってスタイルが凄くいい!
すごく無愛想だけど、とても面倒見がいい。
健も野球部に入っていて、新エースだ。
長身を生かしたピッチングは誰が見ても息を呑む。
頭がよく、いつも学年一位をたもっている。
「一華!急ぐぞ!!」
彼は西田太一(にしだ たいち)。
太一も野球部に入っていて、一年生の時から攻撃の要の四番。
どの試合も必ずと言っていいほど得点に絡んでいる。
体つきがとてもいい。
がっしりしていて凄く頼れる感じ。
私は、いつもこの3人と登校している。
「「「走るぞ!」」」
「....うん!!」
そして私は野球部で唯一の女子部員。
私、竜、健、太一は小学生の頃から地元の野球クラブに入っていて、ずっと一緒に野球をしてきた。
友達になったのは幼稚園生の時だった。
小さい頃から男の子っぽく、女の子の遊びが楽しいと思えずいつも一人だった私に声をけけてくれたのが竜、健、太一だった。
私達はすぐに仲良くなりいつも一緒にいた。
四人とも家が近くて、幼稚園から帰ってきてからも公園で日が暮れるまで遊んだ。
今思うと懐かしいなぁ。
「おぉーい、一華はやくー!」
「一華、遅いよ。」
「ダッシュしろ!一華!」
「あ!まって!」
大好きな幼なじみ達との1日が今日もスタートする。
プレイボール!!