駆け寄って、私の隣に座る彼。


その瞳には私しか映っていない。


「気付いてた?」


「え?」


「付き合っている彼女と私がどこか似てるなとか」


羽崎くんは何も言わない。


たぶん気付いてたんだと思う。


「名前聞けば分かるよね。阿久津真琴と阿久津美音で一文字違いだもん」


私は自分を嘲笑うかのように言う。


「私と美音。重なって見えなかった?」


羽崎くんは目を真ん丸に見開く。


「まさか。1度もない」