お姫様はふたり

考えれば考えるほど胸が締め付けられる。


美音を羨ましく思う。


羽崎くんの視線の先にいる美音を。


彼に『美音を見ないで。私を見て』なんて言う権利、私にはない。


苦しい。


妹に嫉妬している自分がカッコ悪い。


みっともない。


気づいたら私は電話をかけていた。


“To羽崎圭”


画面に表示される彼の名前。



電話に出てくれることなんてまずないのに。


彼に期待しすぎかもしれない。