「〜っ、ちょっとは察しろよ……」
「ふぇ?」
野川が変な声が出たのが恥ずかしかったのか、顔をすこし赤に染めた。
それに構わず、あたしは間抜けな顔にキスをした。
「〜っ、早瀬……っ、」
顔を見ると、すごく真っ赤な顔の野川がいる。
野川は、攻められたいのか、攻めたいのか。
あたしがこのままキスを続けてもいいのだろうか。
それとも野川からしてくるのを待つか。
「野川、からキスしろよ。」
「へ、」
女子みたいな反応を見せる野川にあたしの口角が上がる。
やがて決心した様で、こっちに向き直って目を見る。
「め、目……閉じて…」
言われたように目を閉じると、野川の息が口にかかる。
でもなかなか当たらない口に、相当緊張していることがわかる。
「〜早くしろボゲ……」
なんかこっちまで恥ずかしくなってきて、目をさっきより硬く閉じる。
ようやく当たった唇は熱い。
最初は緊張していた野川もだんだん慣れてきたのか、角度を変えながらちゅ、ちゅ、とリップ音をたてながらキスをしてくる。
だんだん余裕がなくなってきたのはあたしの方で、口が離れるとほっとした。
その様子に気付いた野川が、嫌……?と尋ねてくる。
「慣れないだけだ」
目をそらしながら答えると、じゃあ、慣れればいいよ、と耳元で甘く囁かれ、ぞく、と首筋にへんな感触が走る。
次の瞬間、また唇を塞がれ、半開きに、なっていたあたしの口に、熱いぬるぬるしたものが入ってきた。
それを舌だと気づくのは、そんなに時間はかからなかった。
「………っふ、」
なんだこれ、なんだこれ、と動揺するあたしに構わず、どんどん口内が犯されていった。