誰よりも


「ごめんごめんごめんごめん!!!今の嘘だから!場所は別にあるから!!ほんと許してお願い一緒に食べよ」

「……じゃあ、そこは何処だ」

ちゃんと広くていい場所なんだろうな、と付け足す。

「もっちろん!野川さんオススメだよ☆」

野川のオススメ、正直いい気がしない。

「とりあえず、連れて行け」

そう野川に言い、野川について行った。


*


「ほー、これか、お前のオススメの場所は。」

ここは、誰もいない中庭だった。
なぜ、中庭に誰もいないのか。それは、最近花が荒らされ、先生たちによって、中庭立ち入り禁止にされたのだ。

「でも、立ち入り禁止だろう。」

「いいじゃん☆俺くらい優等生だと疑われないんだよ☆もし早瀬が疑われても、俺が全力で庇うから!!」

庇う。
じゃあ、野川がやった、と思われてもいいんだろうか。
別に花を荒らしたくらいでそんなに怒られないだろうが、無実なのに怒られるのは理不尽だ。

「………、やめよう。ここはいやだ。」

今度も、あたしの我儘で昼が遅くなった。

すると、ふといい”教室”があったことを思い出す。
この前、サボりで使った教室だ。

「…ついてこい」

そう短く言うと、あたしは野川の腕を引っ張りその教室へ向かった。