誰よりも



*


あれから1ヶ月程経ち、ゴールデンウイーク合宿が過ぎた頃だ。

今は野川と一緒にいる。

野川は、喋りかけてはくるものの、あたしに触れようとはしなかった。

「……野川、」

「なぁに?早瀬〜?」

「……今日、昼一緒に食べるか。」

普段、あたしから昼を誘うなんてことはあり得ないのだが、誘う。

「……えっ!?え、え、うんうん!!食べる食べる!!」

「じゃあ、昼休みな、」

そして教室に戻っていく。野川の反応を見ていると、自然と表情が緩んだ。




*



昼休みだ。

今日も自分で弁当を作った。いつもより卵焼きは上手にできたと思う。

そして屋上で野川を待つ。
いつも一緒に食べる所だ。と言っても、偶然会うだけだが。

ガチャ

ドアの開く音。

_____野川か

そう思って後ろを振り返るが、その人物はいなかった。