誰よりも


「あ…ごめ、」

あたしが泣いたのに気付いたのか、謝りながら手を離した。

___くっそ。

泣き顔、こいつだけには見られたくなかった。
どうして、泣いたんだ。どうして、怖くなったんだ。

ふと、過去が頭を過った。


*


「お父さん、お母さんなんで痣だらけなの」

お父さんも泣きそうだ。ふと起きて、リビングにいったら。

痣だらけで泣いているお母さんがいる。

殴られたのか。誰に。そんな疑問が込み上がってくる。

ふと床を見ると、紙が落ちてあり、そこには『出て行け』や、『謝れ』など、誰が書いたのかわからない紙が落ちてある。

「これ、なに?だれにされたの」

「…………」

両親は答えない。どうして言ってくれないの。あたしはもう小学4年だからいじめられてることくらいわかる。
誰にされたんだ。

そんな気持ちのまま、あたしは両親に寝かされた。