「………………………………………。」

「………………………………………。」

一時の沈黙が訪れる。

そして、柊音がその沈黙を破り、口を開いた。

「もっ…申し訳ございません…申し訳ございません…!……………にゃぁ。」

まだやっていたのか、命令をふっかけた本人がもう忘れたというどうでもいいことをまだ律儀に従っている。

「おい、こんなときまでしなくてもいい。」

そう狼緋は言うと、柊音はビクッとして、肩をすくめた。

それにしても、厨房はなんともすごい有様だ。

これはもう、自分で作れということだろう。

「…はぁっ…あとは俺が作る。おまえは掃除しとけ。」

「はい。」

短く答えると、柊音は割れたものやらなんやら片付け始めた。

それを狼緋は見届け、材料を馬鹿でかい冷蔵庫からとりだし、目の前に置き、気付いた。

そうだ。俺も料理できないんだった。