なぜ彼は私のことを探してくれたのかな。


こんな小さなことでも私の胸を高鳴らせるには十分だ。




「泣いていたの?」



優しく聞いて隣に座る。



それにあわせて私も体を起こして体育座りをする。



やっぱり風が気持ちいい。




「授業は?」



「抜けてきちゃった。」


えくぼをつくってほほえむ。

本当にこのえくぼがなければな。



憎らしくてほっぺに人差し指を指す。




「痛いよ。」



ぐりぐりやられて確かに痛そう。



「なんでえくぼできるの?」


「えくぼは周りより皮下脂肪の少ない皮膚が「そうじゃなくてね、」」



「そうじゃなくて、大矢くんのえくぼ私好きだからたまに憎らしくなるなーってこと。」



一瞬きょとんとした顔になったがすぐにほころび優しい表情をする。



「そんなこといわれたの始めてだ。高橋さん、ありがとね。」



そういって私の頭に手を伸ばそうとした。

だけどその手は途中で止まって、
なんにも触れることなく宙だけかいて帰っていった。