「とにかく、相手は年頃の女の子なんだからね!あんたもっと気をつけなさいよ。」


俺だってお年頃だ。

思い出すだけで顔から火が出そうだ。



「わかってるよ。」

「あんた、顔赤くない?熱でもあるんじゃないの?」

「ないから、大丈夫だから。」


おでこを触ろうとする母親の手を払って自分も食器を片付けた。



「あーーー!!さおりちゃんにうちの鍵渡すの忘れちゃった!」



母親は自分の手の中にある鍵を見つめた。


ピンクシルバーでできたそれはアクセントにピンクの石がついてる。
ディズニーのキャラクターのミニーちゃんをかたどったストラップだった。



「まって、それ俺の鍵のマスコットとおそろいじゃん。」


竜の鍵についているのはミッキーなのだ。

よくよく見るとミッキーとミニーが手を合わせるとハートができるようになっている。


「そんなことはどうでもいいでしょ。とにかくこれをさおりちゃんに渡して。そのついでにちゃんと謝りなさい。」



「げ、もうこんな時間じゃん。急がなきゃ。」



母親の手から鍵を引ったくって家を出た。