結局、なんだかんだ、あれやこれやで鉄兄の部屋でベッドに腰掛けていた。


紺のカーテンに紺のベッドカバー。

シンプルな部屋だった。


竜とともにヒィヒィ言いながら詰め込んで来たスーツケース二つを見つめてぼけっとしていた。




コンコン




「入っていいか?」


竜の声がドアの向こうから聞こえてきた。



「どうぞ。」


竜がゆっくり入って来て隣に座った。




「ごめんな、母親が勝手やっちゃって。」


「ううん。すごく嬉しかった。」


「迷惑だったか?」



「全然!!!おばさんいい人だしそれに、やっぱり家に誰かいるって落ち着くよ。」


「そっか」


今日の竜はなにやら口数が少ない。


「おれ、隣の部屋だから何かあったら言えよ?」



「うん、ありがとね。」



「じゃぁ、おやすみ」



結局なにを言いに来たのかわからないまま竜は帰っていった。