母はもうどこかに行くみたいだった。


「じゃぁ、さおり気を付けてね。ちゃんと戸締りしてるの?」



無言で頷く。



「ほんと、やめてよね。今回だって仕事休んできたんだから。」


なんだかイライラしてきた。

なぜ私はこの女にそんなこと言われなくてはならないのか。

この女は他に言うことないのか。




「あんたなんなの、私の母親じゃないの?」


「なにいってんの?お父さんいないんだからお金絶やさないためにも仕事しなくちゃいけないでしょ?」


「違う。そう言うことじゃない。お母さんは何もわかってない。」


「何がいいたいのよ。」


「お母さんは自分がレイプされたらどうなの?私の家族はお母さんしかいないんだよ。なんでそばにいて欲しいときにいつもいないの?」


「さおり。ごめんなさい。私もう行かなきゃ。」


そう言って母は足早に家を出てしまった。








そんなこともあったけど、今は何も変わらないまんまだった。