ついつい、想像力を膨らませて、一人遊びをしてしまう。

そうでも、しないと電車通勤なんてただただ疲れるだけだし、気がまぎれないではないか‥。

やがて電車が走り出し、車窓に映る疲れた自分の姿にかなりげんなりしつつ、真奈美はぼんやりと窓の外の町並みを眺めていた。

夕暮れのネオンサインがチカチカと怪しげな光を放つ賑やかな駅前を通り過ぎると線路沿いには民家が連なっている。

その窓からちらちらと人々の様子が垣間見れる。

晩御飯を作っている主婦の姿や、すっかりくつろいでリビングでテレビを見ているおじさんの姿‥通りには塾へ向かう学生たちの自転車姿などなど。

ふっと目を遠くにやると、町並みは果てしなく続いている。

その情景を眺めながら思わず、子供の頃に夕飯の前に帰ってくるように言われても、
時間を忘れて遊んでしまい、締め出されて表で泣いた事を思い出した。

そういえば、今はそうやって夢中に遊ぶ子供の姿など見たことない。

夜中近くに駅やコンビニで中高生を見かけても、驚かなくなって久しい。

世の中変わってしまったんだなぁ~。

そして、ほんとに自分が年をとってしまったんだ‥という気持ちになってしまった。

なんとなく、もの悲しい気分で電車に揺られて35分後、ようやく最寄り駅に到着。

朝よりはかなり少ないものの、大勢のヒトの波にもまれながら電車を降りると、

また朝同様、無意識に定期券を取り出し改札を出た。