走って、走ってやっと佐伯くんを見つけたのは
今日は立入禁止になっていた西階段だった。
彼はダルそうに階段に座り込み、目を伏せていた。
私は深呼吸をして息を整えた。そして
「....佐伯くん。」と呼び、側まで寄った。
すると、佐伯くんは一瞬驚いたように目を見開き
その後すぐに冷たい瞳を私に向けた。
「.....佐伯くん。」
「....」
「.....ごめんね。」
「........は?」
そう言って佐伯くんは邪険に眉を寄せた。
「高校の入試の日、消ゴム貸してくれたのは佐伯くんなのに、ずっと勘違いしてて。」
私がそう言うと、彼はまた驚いたような顔になる。


