躊躇いのキス

 
「ま、雅兄……?」

「んー……?」


おそるおそる名前を呼ぶと、もぞっと動き出す体。

どうやら、本気寝をしていたらしい。


「あ……」


ふと机に目をやると、お母さんからの置手紙のようなものも目に入って……


【雅人くん

 お父さんを迎えに行ってくるので、留守番をお願いします。】


と書かれていた。


ああ……。
お母さんもきっと、雅兄を起こしに来て、起きてくれないから手紙を置いて行ったんだ……。


ってか、雅兄が来てるなら、あたしにも一言言ってよ!!



このままそっと引き返そうかと思った。

だけどもう時間は10時を過ぎていて、今からどこかに行くと言っても気が引ける。


それにここは、あくまでもあたしの家。

あたしは意を決して、雅兄の眠るベッドへと向かった。