躊躇いのキス

 
「この不良娘」
「あたし、もう大人なんですが」
「大人なら、こんなに周りを巻き込むなよ」
「……」


車に入り込んだ瞬間、やっぱり雅兄からの説教が……。

迎えに来てくれたのは嬉しい。
けど、そんなに大げさになることだったの?


「………公子さんなりに、侑那こと心配してるんだよ」

「え……?」


それを察してか、車が発信すると、雅兄が言葉を紡いだ。


「一応、フラれて家に出戻ったんだろ?
 落ち込んでるんじゃないかって心配して、何か変なことしでかさないかってさ」

「……そんなこと、するわけないのに……」


お母さんの、心の内を聞いて、胸がきゅんとした。

いつも口うるさいし、冷たくあしらわれているような気がしたけど
やっぱりお母さんはお母さんで……。


「あたし……

 最低な女の子みたいだから……」


「は?」


うつむきながら、
雅兄にさっきのことを話し始めた。