「お待たせ」
「お疲れ」
仕事も終わってしまい、仕方なく連絡して向かった近くのカフェ。
そこはたまに、こうやって雄介と待ち合わせで利用していたカフェだった。
平日休みのあたしは
休日も当然のように仕事で。
こんなふうに、あたしが終わる時間を見計らって迎えに来てくれてた。
そんな淡い思い出……。
「何?用って」
あえて冷たく言葉を発して、目を見ずに胸元を見る。
雄介は鞄の中から何かを取り出すと、それをあたしに渡してきた。
「忘れ物」
「忘れ物?」
「この前入れ忘れた」
そう言われて渡された袋は、特別大きなものではなかった。
雄介と暮らしていた部屋に置いてあったものは、全部この前宅急便で送ってもらったと思っていたけど
どうやら入れ忘れたものがあったらしい。
いったい、何を忘れたのか気になって、その場で開けてみた。

