躊躇いのキス

 
雅兄はそれだけで何かを悟ったのかもしれない。

ずっと合わさっていた視線が解かれ
パソコンへと向きなおされる。


「んー……

 今はあまり、妹って感じではないかなぁ……」


と、嬉しい返事をしてくれた。


「え?」

「小さい頃は、兄妹のようにずっと一緒にいたけど、
 ここ数年は顔すらもろくに合わせてなかったしな」

「じゃあっ……」


どこかでネジが外れてしまったのかもしれない。

あたしはパソコンへ向かう雅兄のすぐ後ろまで駆け寄り、その背中をじっと見つめた。




「あたしのこと……

 女の子として見てくれるの?」




その言葉に、キーボードを打っていた雅兄の手が止まった。