「侑那ー?」


今日は休日。
平日休みのあたしは、友達とも休みが合うわけでもないので
一人予定もなくゴロゴロとしていた。

そんな休みも終わろうとしていて
夕方過ぎ、いい加減漫画に飽きてうとうとしかけたとき、お母さんに呼ばれた。


「何?」
「あんた、暇でしょ?
 ちょっとこの服、雅人くんに返してきてよ」
「はあ?」


そう言って渡してきたのは、雅兄のものと思われるグレーのパーカー。
というか、なぜに家にそんなものがあるんだ……。


「この前来た時に、暑いって言って脱いでたみたいなんだけどさ。
 そのまま忘れて置いて行っちゃったみたいなのよね。

 洗濯はしてあるから、そのまま返しに行ってきて。
 多分、この時間なら雅人くん、帰ってきてるでしょ」

「いやいやいや。お母さんが行ってきてよ」

「あのねぇ。
 お母さんは夕飯の支度をしてるの。

 あんた、今日一日何してたって言うのよ」

「……」


それを言われたら、何も言い返せない。

ましてや、つい最近出戻ったばかりの娘……。



「……分かったよ」



仕方なく、そのパーカーを受け取ると
憂欝な気分で玄関へと向かった。