躊躇いのキス

 
店長も電話が終わったみたいで、店内に戻ってきて、
会計をしているあたしに、目の色が変わったのが分かった。


店長、あたしやりましたよ。


と、心の中で言ってやった。



彼女へのプレゼントと聞いていたので

「バースデーカードはお書きになりますか?」

と聞いたら、

「それはいい」

と断られた。


だから綺麗にラッピングをし、
あとあと自分でも添えられるよう、何も記載していないバースでカードを袋の中に一緒に入れた。


紙袋の中に、コンパクトの箱と、渡す用の紙袋を添えて
雅兄のもとへ戻る。



「お待たせいたしました」



にこにこと微笑み、それを雅兄へと渡した。