「侑那?」
「……何?」
「なんかへこんだ?」
「べつに」
じわりと浮かんできた涙をなんとか抑え込み、背を向けて冷たい言葉を返した。
傷ついたなんてバレたくない。
それに傷ついたって、自分でも認めたくない。
だってそれじゃあ、
まるで今でも雅兄のことが好きみたいじゃん。
「侑那」
「な………っ!?」
それでも名前を呼んでくる雅兄に、「しつこい」と言い返そうとした。
だけどその言葉は、驚きで消え去り、
あたしの体は温かい体温に重なる。
「よしよし」
「な、なに……?」
気が付けば、雅兄の体の上に覆いかぶさるように
ベッドの中に引きずり込まれていた。

