躊躇いのキス

 
「いいじゃん。
 お前は特別なんだから」

「え?」


あまりにもドキッとする台詞に、思わず目を見開いた。


「お前の前では、カッコつけないって決めてんの。
 昔から」

「……何それ。どういう意味?」


意味深な言葉に、鼓動がドキドキと高鳴り、
だけど平静を保って問い詰める。

雅兄は表情一つ変えずに、


「素でいても、平気だって分かってるから。
 カッコつける必要とかねぇしな」

「それって、遠回しにあたしのことを女として見てないって言ってるでしょ」

「分かった?
 っつか、当たり前だろ。
 お前のことなんか、女として見れるか」

「……」


やばい。
今の言葉、本気で傷ついた……。


昔にも言われた言葉。
妹にしか見えないって……。

22歳になった今でも、きっと雅兄にとっては同じなんだ……。