躊躇いのキス

 
「…………言ったじゃんっ……」

「何を?」


もう一つ、
あたしが決定的に雅兄を諦めようと思った言葉があって……。

今思い出すだけでも、ナイフで胸をえぐられるように痛くなる。



「雅兄っ……。

 あたしのこと………


 彼女にしてやんない、って……言ったじゃん!!」



言い切った時には、もう溜まり切れない涙があふれ出ていて
だけど弱みを見せたくなくて、キッと睨みあげた。

雅兄はそれでも怯むことなく、微笑んでいて……



「うん、してやんないよ」



と残酷な言葉を吐いて
あたしを抱き寄せた。



「だからっ………」






「だって最初から、

 フィアンセにするつもりだったから」