躊躇いのキス

 
「こちらですね」

「ありがとうございます」


あたしが支持して、理恵子先輩に出してもらった指輪は、3つ。

本来なら、指輪を取り出した理恵子先輩が説明をするけど、ここは空気を呼んでくれたらしく、理恵子先輩は指輪を出したら一歩後ろへと下がってくれた。

だからあたしが説明をする。


「これが、うちの店の一番人気。
 シンプルで無駄がなくて、指が一番綺麗に見えるリングの細さなの。

 それでこれが、今月入ったばかりの新作。
 大きめなダイヤの下に、ちっちゃい小粒のダイヤがついてて……。
 遊び心が大好きな女の子には気に入られると思う。

 それでこれが………」


最後に指差した、一つのリング。

それはあたしが、この店で一番気に入っている指輪で……


いつか自分が誰かにプロポーズをされるとき
この指輪を身につけたいと思っていた。


だからこんな形で、こんな相手にお勧めなんかしたくないけど、
多分これが従業員としてのプライドなんだと思う。


これを外しての、お勧めリングなんてない。