「侑那ちゃん、何かあった?」
「え?」


いつも通り、ショーウィンドウの前で立っていたつもりのあたしに
隣にいた理恵子先輩が少し心配そうに声をかけてきた。

今は店長は中に入って、納品書等のまとめをしているので、店内にはあたしと理恵子先輩だけ。
悲しいことに、平日の午前中は、ほぼお客さんが入ることはない。


「何もないですけど……何か変ですか?」


極力にこにこと笑って言い返したけど、
理恵子先輩は苦笑したままで……。


「ちょっと空元気に見えるから」

「……」


あたしも、まだまだ接客業としてダメだな……。

なんて思った瞬間。

あたしの無理やりな元気は、理恵子先輩にはバレバレのようだった。


「ずばり、男関係でしょ?」
「……あはは……」


理恵子先輩は恋愛関係に関しては、すごく鋭い。

雄介と別れた直後も、すぐにバレていた。
今回も、何かをくみ取ったらしくて……。


「あとで全部お姉さんにさらけ出しちゃいなさい!」


と、結局今日も、理恵子先輩と飲みに行くことになった。