躊躇いのキス

 
「遅かったねー。どうかした?」
「あ……いえ……」


逃げるようにして、あの場を後にし、理恵子先輩の席へと戻った。

一人になっていた理恵子先輩も、酔いが醒めたようで、さっきよりはだいぶはっきりしている。

だけど……


「すみません……。
 ちょっと結構酔ってきちゃって……。
 今日はこの辺でお開きでもいいですか?」

「あ、うん。そうしよっか」


時間も11時を回ろうとしていることから、理恵子先輩も頷いてくれて、そのまま会計に。

支払いをしながらも
頭の中には、ずっとさっきの雅兄と女の人の姿が焼き付いていて……。



今日はあの二人、
泊まったりとかするのかな……。


なんて、
バカみたいなことを考えていた。


女の人はすごく綺麗で……
あたしとタメか…少し上か……

ハッキリとは見てないから分からなかったけど、

とにかく雅兄が好きそうな
大人っぽい女性であることには間違いなかった。