ティアの短剣の切っ先が相手の服を引き裂こうとした瞬間、ティアは強い力ではじき飛ばされ、地面を滑るように勢いよく転がった。


同時に手から飛ばされた短剣は太陽の光を受けて一瞬きらめいたあと、ザクッと音をたててティアの顔のすぐそばの地面に突き刺さった。



「…っ!!」



ティアは一瞬目を見開き、体をこわばらせた。


…が、すぐに起き上がり自分をはじきとばした相手に強い視線を向ける。


転んだときにケガをしてしまったのか左腕がズキズキと痛んだが、構っている余裕はない。



「あ…」



視線の先にいたのは見知った顔だった。



ーどうして、ここにいるの?



それは相手も同じようで、剣を手にしたまま呆然とこちらを見ていた。



「ティア…?なんで…?」


そこにいたのは、ジーニアスだった。