数日後。


ティアはジーニアスに連れられて、彼が住んでいるという屋敷にやってきた。


屋敷のまわりには森が広がり、時おりリスなどの小動物が顔をのぞかせる。


ジーニアスが住んでいるのは、町外れの大きな屋敷だった。


どうやら貴族の別邸のようで、ジーニアスが護衛している女性の屋敷らしい。


ジーニアスが玄関扉を開けると、執事らしい初老の男性が出迎えた。


「おかえりなさいませ。…おや、そちらは?」


執事は少し驚いた表情でティアを見た。



ーそれはそうだろう。



こんなにキレイな屋敷に似つかわしくない薄汚れた子供がいるのだから。


ティアはさっとジーニアスの後ろに隠れ、その影から様子をうかがい見た。



「オレの友だちだよ。古代薬に興味があるらしいから連れてきたんだ」



「そうでございましたか」


執事はにこやかな笑みを浮かべた。



「だからちょっと書庫に行ってくる。あとでお茶取りにいくから用意してて」



「かしこまりました」



執事は一礼をして去っていった。