ティアの部屋から玄関に行くのには叔父の寝室の前を通らねばならないのだ。
叔父は警戒心が強く、さらに年のせいもあってか小さな物音でも目が覚めてしまうらしい。
前に怒られてしまったと使用人のひとりがぼやいていたことを思い出す。
ティアは壁に背をあずけ、足音をたてないようにそっと足をすべらせる。
ギ、と足下の床が小さくきしむ。
耳をそばだてて叔父の部屋の様子を探りながら、一歩、また一歩と足を進める。
『う~ん…?』
叔父が起きかけているのだろうか、寝起きのぼんやりとした声が聞こえてティアは足を止めた。
気づかれてしまっただろうか。
冷たい汗が背中を滑り落ちてゆく。

