「俺も会いたかったよ」



ーえ…?



甘くささやく声が耳に届くと同時にふわりと抱き締められ、ティアは信じられない気持ちで目の前にまわされた腕を見つめた。



「…ジーニアス…?」



首を傾けて振り返るとそこには今まさに会いたいと思っていた人の姿がある。



「…本当に…ジーニアス?」



「本物だよ。こうしたら…信じてくれる?」



ジーニアスの瞳に宿る熱を見つけると同時に唇に触れる柔らかさ。


一度では足りないとばかりに何度も角度を変え、重ねあう。


離れていた時間を取り戻すかのような口づけに崩れ落ちそうになりながらも必死にそれについていく。


唇に感じるものはこれが現実であることを感じさせてくれる。



ーどうしてここにいるのか。



ー私はジーニアスのそばにいられないのではないか。



そんな疑問はすべて頭から消え去っていた。