薬品と恋心


「ジーニアスに会います」


「…それは無理でございます」



「なぜですか?」



「ジーニアスさまは城にはいらっしゃいません」



ー城に、いない…?



「では、どこに?」



「数日前より公務で出かけておいでです。それよりも、ジェンティアナさま。予定の時刻が迫っております。お急ぎください」



メイドは早く、といわんばかりにティアの着ているものに手を伸ばした。

ここで抵抗しても、これ以上何を聞いても意味はない。


大きな力に抗う術など何ももっていないのだから。


ティアは静かに瞳を閉じた。



ー来るべき時が、来たのかもしれない。



「わかりました」



ティアは凛とした声で答えるとゆっくりと瞳を開く。


そこにはもう戸惑いの色はなかった。