カーテンの隙間から入り込むまぶしい太陽の光をまぶたに受けて、ティアは目を覚ました。


ティアは起き上がると窓に近づいて外を眺めた。

そこにはいつもと変わらない光景が広がっている。


ただひとつ違うところといえば、今日はとても天気がいいということだ。


言うなれば、採取日和。こんなときこそ、常時必要となる薬草や、取りにいくのが難しい薬草を取りに行くのに最適なのだ。



ーなんて、何考えてるんだろう、私は。



ティアは窓にコツンと軽く額を当てた。



ーもう私は採取人のティアじゃない。ジーニアスの婚約者…なんだから。


考える必要などないはずのことを考えてしまうほどに不安が胸のなかで渦巻いているのをティアは感じていた。


ジーニアスのそばにいて幸せなはずなのに、わずかな期間会えないというだけでこんなにも不安になるのはなぜなのだろうか。



わずかな不安を抱えながらいつも通り支度をして先生を待っていると、しばらくして現れたのはメイドだった。