ジーニアスは自分の手のひらに目を向ける。 ーティアがこの手にようやく来てくれたのだ。 彼女の手を放すなど考えたことはない。 ーでも。 相手のことを自分のことよりも優先してしまう傾向にあるティアのことだ、仮に自分より他の娘のほうがふさわしいと思ってしまったなら黙って城を出ていくとも限らない。 あの日、帰らないティアを待ち続けた長い夜のことがジーニアスの脳裏に思いだされる。 あんな思いは二度としたくない。 ーいなくなるなんて、させない。 ジーニアスはぎゅっとこぶしをにぎりしめた。