静かな廊下にカツカツと足音が響く。


夜もだいぶ更け、暗い廊下を照らすのは手にしているカンテラと月の光だけ。



ー今日も会いにいくことができなかった。



ジーニアスはため息をつきつつ、自室までの道のりを歩いていた。


王都に帰ってから王子としての仕事に追われ、ティアに会うことすらままならない。


しかし、ティアといるためにはなんとしてでもやらなければならないことだ。


だけど、さすがに疲れも出てくる。



ー会いたい。



愛しき人を想いながらジーニアスは夜空に浮かぶ月を眺める。