「ではこれで本日の勉強は終わりでございます」



「ありがとうございました」



ティアが優雅にお辞儀をすると、教師は満足そうな笑みを浮かべて去っていった。


その姿が扉の外に消えて見えなくなってから、ティアは脱力してソファに沈みこんだ。



「あ、いけない…見直しをしておかなくては」



ティアは本を手に取りめくりはじめる。


貴族としての基礎知識や常識を身に付けるために学ぶことは、自分がここにいてもいいことを実感させてくれる。


しかし、周りの貴族令嬢たちに比べて圧倒的に遅れをとっているため、ときにここにいてもいいのかと思ってしまうこともあるのは確かだった。


はぁ、と息をついて顔をあげたティアの視界に映るのは豪華な調度品、絵画にテーブル、座り心地のよいソファ。


バルコニーに続く窓にあるカーテンでさえ重厚感を醸し出している。