「貴女がジーニアスの婚約者になってくれたらいいと思ったのは本当よ。でも…思い返せば、貴女を利用してしまっていたわね。ごめんなさいね」



ティーカップに視線を落としながらレティシアは申し訳なさそうに呟いた。


いいえ、とティアは首をふる。



ーレティシア様もジーニアスのためを思って行動していただけなのだ。



後から説明を受けてわかったことだったが、ジーニアスはティアを探すためにレティシアに協力を求めたらしい。


レティシアが舞踏会でティアに接触した人たちを当たり、人脈を駆使してティアを探し当ててくれたのだ。


ジーニアスの兄である第一王子もティアを助けるために動いてくれたらしい。


ふたりが動いてくれなければ、今頃ティアはゲオルグのものになっていたはずだ。


そうならずに済んだのだからお礼を言うべきなのはこちらのほうだ。