『素晴らしいドレスでございましょう?』



ドレスを着る際に手伝ってくれたメイドの言葉が頭に浮かんだ。


彼女が言うには、どうやら採寸からデザインまでゲオルグの指示で作られたものらしい。


いつ採寸したのかティアの記憶にはなかったが、ドレスはティアの体にぴったり合うように作られていた。


繊細な刺繍が施された上品なドレスの用意に、結婚式の準備。
最近部屋に来なくなった理由をティアは先程知ったのだ。


ゲオルグはティアを手に入れたくて、心を手に入れたくて色々と奔走してくれていたらしいが、ティアの心はいまだジーニアスに向いたまま。


しかし、どんなに気にいらない相手だろうが、貴族と結婚する以上向き合わなければならない。