「レティシア!!」



王都に着いたジーニアスはすぐさまレティシアのもとに向かった。



「そんなに慌てていったい何かしら?」



レティシアはゆっくりと読んでいた本から顔を上げて妖艶な微笑みを浮かべた。



「…頼みたいことがあるんだ!!」



肩で息をするジーニアスのただごとではない様子にレティシアは読んでいた本をパタンと閉じ、ジーニアスに向き直った。



「貴方が私に頼みなんて、珍しいこともあるものね」



「人探しを頼みたいんだ。…王都を長らく離れていたオレひとりでは見つけられない」



狂おしいほど愛する人を求める切なげな瞳。
ジーニアスにこんな表情をさせることができるのは、あの子しかいない。