ーティア、どこにいる?


ジーニアスは空に浮かぶ月に問いかける。


ティアは自分を追ってこないようにしているのか、手がかりを何も残していない。



ーでも何かあるはずだ。



ー思い出せ!!



ジーニアスはやや下を向き、頭を押さえながらティアとの思い出を巡らせる。


警戒心をあらわにしていた姿。
文献を真剣に読む姿。
闘争心に燃える瞳。
泣き顔、笑った顔。
舞踏会でのドレス姿。



ー舞踏会…?



ジーニアスはハッとしたように顔を上げた。