幼い頃、その耳飾りが欲しくて手を伸ばした。 ーこれはダメよ。 ーどうして? ーこれはね、お父様からの大事な贈り物なの。婚約の証にいただいたものなのよ。 ーふぅん。ティアももらえる? ーふふっ。いつかきっと、ジェンティアナも好きな人からもらえるわよ。 あの日、幸せそうな微笑みに寄り添うように耳飾りはきらめいていた。 仕事で家を離れていたとしても、心はそばにいるかのように父から贈られた耳飾りは母のそばにいた。 ーその耳飾りが今、目の前にある。