薬品と恋心


ージェンティアナの唇はすでに自分ではない男に奪われたのだということを。



「…なぜなんだ。お前はぼくのものになると言ったじゃないか」



肩を震わせ、ゲオルグはティアを引き寄せると、背中に腕を回してその華奢な体をきつく抱きしめる。



ー逃げてしまわないように。



ー離れていかないように。



「こんなに愛しているのに…!!」



突然のことに反応できなかったのか、腕の中にいるティアはそれに応えるわけでも、抵抗するわけでもなく、ただされるままになっていた。



「ジェンティアナ…お前はぼくのものだ。もう誰にも渡さないからな」



その言葉にティアがピクリと反応する。



「…まだ、私は」



「正式な花嫁ではない?…なら、これでどうだ?」



シャラン、という音とともにヒヤリと冷たいものがティアの耳に触れる。



「これ、は…」



「婚約の贈り物だ」



ティアは指で片方の耳に着けられたものの形をなぞる。



ーまさか。



それに触れる指が震えた。


それまで気丈だったティアの瞳が動揺に揺れる。