該当する人物はまだ記憶に新しい。


きっとひとりはティアを襲った追手に違いない。


追手から逃げていたティアが自分からついて行くなんてあり得ない。


ティアは何らかの理由でついて行かざるを得なくなったのだ。


グッと手に力を込めれば紙が手のひらに刺さる感覚がする。



『あなたの幸せを遠くから願っています』



手の中にある紙の内容が頭を駆け巡る。


間違いなくこれは別れの手紙。



ーティアはもう帰ってくるつもりはないのだ。



「……っ!!」



その言葉が頭に浮かんだとたん、ジーニアスは走り出していた。


ティアと別れて半日以上が経過している。


それでも探さずにはいられなかった。