「ふふっ…難しいですね。この間の舞踏会でその人に会えないかなって思っていたんですけど、会えませんでした」
ティアは顔にかからないよう髪を押さえると、取り繕ったような笑顔をジーニアスに向けた。
「……ーっ!!」
ーティアはジークに会うために舞踏会に行ったのだ。
その事実とティアの寂しげな瞳に頭で考えるより体が動いた。
気がついたときにはティアを抱き締めていた。
ティアのさらりとした髪が頬に当たる。
ティアの会いたい人は自分ではないと思っていた。
ーだけど、それは違った。
ティアは今もジークのことを想ってくれている。
たまらなく愛おしく、抱き締める腕に力が入る。
「好き…なのか?その人のこと…」
ずるい聞き方だと思う。でも聞かずにはいられなかった。

