「元いた町に帰りたい?」



レティシアはお茶を飲む手を止めて驚いたようにティアを見た。


庭園でお茶をするには最適な陽気の昼下がり。


ティアはレティシアに誘われて木漏れ日溢れる庭園の中のテーブルについていた。


レティシアからよくお茶に誘われていたのだが、ティアは王都滞在に向けた準備のため、申し訳ないと思いながらも付き合うことはしていなかった。


ジーニアスの採取人になれば、お茶をする機会も時間も取れるようになるだろうと思っていたからだ。



まさか、今日でそれが最初で最後になろうとは思ってもみなかった。



「はい」



「どうしてなのかしら?理由をお聞かせ願える?」



今までティアが王都に滞在するために動いていたのを知っているからこその質問だった。


なぜ帰るのかと聞かれることは予想していたティアはあらかじめ用意していた答えを口にする。