「不用意に動くなよ。傷付けることは本意じゃないんでね」
「…説得力ありませんね」
男の背後にある通りは人がたまに通りがかる。
子供が大人に剣を向けられているという異様な光景。
人がこちらに気付いて声を上げようものなら、一瞬とはいえそちらに気をとられて隙ができるはず。
まずは時間かせぎが必要だ。
ティアは不自然にならない程度に声を大きくしながら不遜な態度をとる。
「私はあなたに捕まったらどうなるんでしょうね?」
「さぁな。それは知らんが、依頼主はとりあえず話がしたいらしいぞ」
「話、ですか。それにしても物騒な呼びつけかたですね」
ハッ、とティアは鼻で笑いながら通りに一瞬視線を向ける。
まだ人は通らない。

