ティアは不敵な笑みを口の端に浮かべ、さも余裕であるかのように腰に手を当てる。
「小娘一人のためにこんなところまで来るなんて、ご苦労なことですね」
「…まぁな。この間はあの男にしてやられたが、今回は逃さんぞ」
帽子の下の恨みがましい目がティアに向けられる。
(…どうすればいい)
目の前に立つ男の横をすり抜けて、通りに出ることは難しい。
かといって、自分の背後に続く路地を走り抜けようにも背中を見せるわけにはいかない。
背後の路地を走るには、まずこの男の隙をつく必要がある。
しかし、そう簡単に隙をつける相手ではない。
ー考えろ。
ーどうすればこの状況を打破できるかを。

