「よぅ、お嬢さん。まさかこんなとこにいるとはなぁ」
帽子の下の口がニヤリと歪む。
(なぜここに…!!)
ティアは壁から背を外して男に向き合い、下から男を睨み付けながら、じり、と一歩下がった。
ポンチョの下の短剣にそっと手をかけようとすると、
「おっと、妙なまねはするんじゃねぇ」
一瞬のうちに抜かれた剣がピタリと鼻先に突きつけられた。
短剣を抜くことも、動くこともできない。
ティアの額から汗が一筋滑り落ちた。
これは走ってきたからなのではなく、この極度の緊張感から来るものだろう。
ー怖いと思ったら敗けだ。
ー動揺を悟らせるな。

